俺の春はいつ来るの?17

れうぃ  2010-05-09投稿
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「春之!待ったー!」
――っ!?
屋上の扉が勢い良く開かれ、そこから杉宮姉が出て来て叫んだ。
不良達はその叫び声に気を引かれ、俺はその隙に不良達から離れた。

杉宮楓は屋上に向ながら考えていた。
里村は多分私が怒りに任せて暴力を振るって停学になり、春之がそれを気に病むでと考えていたんだろうけど、それは違う。言わば全く逆なのである。
春之が暴力により停学になり、私が悲しむという感じになるだろう。
だが一応里村の考えも間違ってはいない。もし春之が何も抵抗せずにただただ殴られている状況だったとしたら、私は怒りに任せてしまうだろうから。
まぁ、里村がそう考えてしまっても無理はない。何故ならあいつは、私達の中学時代をあまり知らないのだから――

――中学時代の私は普通の女子生徒だった。得に突出しているものもなく、今のように里村を倒すことなんて考えも出来ないくらい普通だった。
春之が大事な試合の直前に大怪我をするまでは。
私は丁度その日、春之のお母さんと一緒に春之のテニスの全国大会決勝戦という大事な試合を見に行っていた。
一応奏も誘ったのだが、「・・・・・・将来の夫が負ける訳無い」と言って来なかった。
そりゃ私だって勝つことぐらい分かってるわよ。だ、だって私の・・・・・・。
そこまで考えて真っ赤に赤面する。
だがそんなことはどうでもよく、小さい頃からの幼なじみがこんな舞台にたつなんて凄く鼻が高いことであり、それが親ともなればもっと鼻が高いことであっただろう。
私達は試合開始までワクワクしながら待っていた、丁度その頃である。
救急車が来て春之が担架に乗せられて運ばれたのは。
私達は遅れてその事を知り、春之が運ばれた病院へと向かった。
医師の人が言うには、右腕と右脚が複雑骨折しており、左肩の脱臼、左脛の辺りの骨にヒビ、後は体中あちらこちらを打撲しているらしい。そしてその後に告げられた衝撃の一言――

「――春之君はもうテニスどころか、スポーツマンとしても復帰出来ないかもしれません」

・・・・・・そんな、そんなことって・・・・・・何で春之が・・・・・・誰が・・・・・・誰が春之を!!!
その時、私の怒りは頂点に達した。

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