四章 絆 前
楓はそれから放課後いつも一緒に帰ってくれた。
「悪いよぅ〜。」
「いいって。どうせ暇なんだし。」
鈴奈、今すっごく幸せです!
楓は私を見た。
「な、なんか付いてる?」
あわてて鏡を出そうとすると、楓が鈴奈の手をつかんだ。
「俺・・・一ヵ月後、転校・・・するんだ。」
いきなり言われたので言葉が見当たらない。
「そ、そんな・・・。」
「本当・・・なんだ。」
楓の顔には悲しさと悔しさがあった。
「じゃあ・・・もう帰ってこないの?」
やだ・・・離れたくないっ!離れたくないよ・・・。
「いつか、きっと帰ってくるから!!待ってろ!」
楓は少し顔が赤くなりながらも、大きな声で言った。
「うん・・・。」
悲しいけど・・・今は耐えるしかないんだ!!
まだ一ヶ月あるんだもん!
待とう・・・楓を。