スカーレットと青?

ブランキー  2010-05-10投稿
閲覧数[431] 良い投票[0] 悪い投票[0]

「なるほど、それで?」

オットーが剥いた洋梨を六等分し、フォークで刺してアヒムの口元に近付けたが、アヒムは首を振ったので、自分の口元に放り込んだ。

「それで、俺はその男に何が目的なのか尋ねたら、いきなり銃を突き付けてきやがった。」

「そりゃあ、おまえ…びっくりだな。」
オットーは笑った。

「お前、心当たりあるか?」

「あるっちゃ、ある。」
オットーはまた、一口洋梨を口元に放り込んだ。

「そうか…ならいい」

「聞かないのか?訳を」

「聞いたら言うか?」

「言わない。」
オットーがまた笑った。

「なあ、オットー。俺が養父母の元から逃げだしたのは二年前だ。あいつら今頃、俺の捜索願いすら出してないだろうな。さんざん奉仕した挙げ句、虐待まで受けるくらいだ。」

「…」

「オットー、お前は今までどうやって生きてきたんだ?」

「俺は、ミュンヘンで育った。親父と二人きりで。ただ親父は…」

「親父は?」
アヒムはオットーを促した。

「死んだ。自殺したんだ。いやあれは本当は自殺じゃ…」

「自殺、じゃないのか?」
アヒムは自殺の部分だけアクセントを弱くして言った。

「…ああ」



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 ブランキー 」さんの小説

もっと見る

ミステリの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ