「えっ?佐藤さん、妙なことって?」
京都は何の事か分からずに雪野に聞くと
「だってさ、私を陥れるための罠だったらビルに薬莢を置いとくなんてことする?あそこは薄暗かったけど、薬莢が見つかればせっかくの偽装工作が無駄になるじゃない?」
雪野が廃墟ビルを思い出しているのか人差し指を口元に抑えながら説明をすると
「たっ確かに……妙だ」
京都も納得したのかその事に関して考えた。
確かに、銃を扱っているんだから薬莢が落ちる事くらい知っているはずだ。
では何故薬莢を現場に残したのだろうか?雪野は考え付くままに当てずっぽうに言いまくっているが、しっくり出てくる答えが出てこない。しかし、京都がしばらく考えていると
「アクシ………デント?」
「アクシデント?」
呟くように京都が言うと雪野は反復して聞き返してきた。
「うん…………だって衝動的には成人男性四人を殺すことなんて出来やしないだろ?もちろんさっき色々と佐藤さんが言っていた考えの中の『意図的に置いていった』なんて答えもあるだろうけど、もしそうじゃなかったとしたらさ、それ以外で一番しっくりするのは予想外のアクシデントじゃない?」
京都が説明すると
「つまり、予定をしていなかったことが起こってしまって何かしらミスをしてしまったって事?」
雪野が聞き返すと京都はこくりと頷いた。京都の説明を聞いた雪野は確かにしっくりくると納得した。アクシデントが発生した………だが、何のアクシデントだったのだろうか?薬莢を置いていくくらいだから相当焦ったのだろうか?もし焦っていたのなら薬莢の一個くらい置いていっても不思議ではない。
しかし、そんな事を考えているとまた謎が増えてしまった。
考えて行動すればするほど謎が増えていってしまう。こんなことで雪野の無実を証明できるのだろうか?考える二人はそう思ってしまうが口には出さなかった……いや出せなかったっていう方が正しいのだろう。
しかし、謎が色々と出てきた時また雪野がふとまた何かに気づいたみたいだ。