『好きになってごめんね』
僕がそう言うと
『好きになってくれてありがとう』
君はそう言って寂しそうに笑った
声をかけたのは僕の方で
次の約束を作ってくれたのは君の方だった
惹かれ始めて気になり始めていつの間にか君を愛し始めていた
踏み込んではいけないと分かっていたのに
たまらなく綺麗で暖かい世界へ僕は引き込まれた
君のいるもう一つの世界
『きっと私の方が先にあなたを好きになってた』
僕を見つめる瞳が胸に突き刺さって無意識に君を抱きしめた
触れたいと思っていた君の髪
すれ違う度に届いた甘い香り
僕はこの香りが大好きだった
触れたいと思っていた小さな手
白くて綺麗で強く握れば壊れてしまいそうな君の手
その手が今僕の背中にあって
僕はまた君に恋をした
『ごめんね』
口癖になったこの言葉
その度に君は首を振った
そして笑った
『ありがとう、だよ』
優しく僕の頬に触れ君は涙を流した
【ねぇ知ってた?
こういう恋愛って本当は純愛なんだよ
二人の間には壊せない障害があって沢山我慢して
辛くて寂しいけどその分会えたときの喜びってすごく大きいの
次の約束があるか分からない分今がすごく楽しいの
二人に未来はないから今を大切に出来るの
今がたまらなく幸せなの
別れ際
また会えるか不安になるからまた愛おしくなるの
寂しくてどうしようもないけど
会えない時間はあなたで埋め尽くされる
次はいつって言えない分あなたがまた会ってくれたとき嬉しくてたまらないの
待つのもあなたへの想いだと思えば私は大丈夫】
君が僕にくれた言葉
例え君を傷付けるだけに終わったとしても
君は僕を恨まないだろうか
君は強いね
だけどきっと本当は脆くて弱いのだろう
懸命に愛してあげることしか出来ない僕にいつも言ってくれるから
だから僕は切なくてもどかしくなる
『ありがとう』
いつも消えないよ
君と別れた後も
そう言って笑っていても
今にも泣き出しそうな君の瞳を