｢そちらのお嬢さんを引き渡してもらうわ｣
メディナはダリルの首筋に剣を当てながら、リリアを指差した。
リリアは唇を噛んで、無念そうな表情で俯いた。
｢賞金稼ぎですか？｣
｢そうよ｣
｢どうやってこの場所を探り当てたのですか？｣
｢安心なさい。兵隊にはこの場所を知らせていないし、その気も無いから｣
メディナはエナンの質問には答えず、リリアに向かって優しく話しかけた。
リリアは僅かに安堵したような顔で、頭を上げた。
―うまい！
エナンは心の中で感嘆の声を上げると、諦めたような顔になって天を仰いだ。
｢メディナ…？｣
｢！？｣
先ほどからメディナをまじまじと見つめていたザックは、かつて剣を教えてもらった女性の名前を口にした。
メディナは目を大きく見開いて、ザックを凝視した。
｢隙あり！｣
ダリルはその隙をついてメディナに体当たりをすると、剣を抜いて彼女に覆い被さろうとした。
しかし、彼は覆い被さろうとした瞬間に剣を弾き飛ばされてしまい、彼女に蹴られて尻餅をついた。
｢大人しくしていなさい｣
メディナは落ち着き払った声で警告すると、再びダリルの首に剣を当てた。
｢メディナ…やっぱりメディナだ！僕です！ザックです！昔、あなたに剣を教えてもらったザックです！｣
ザックは感激したような顔で立ち上がった。
メディナはダリルから目を離さずに、
｢あなたは私の知るザックではありません。盗賊に身を落としたあなたなど、私は知らない｣
と、淡々とした口調でザックの言葉を否定した。
｢…っ！｣
ザックは愕然とした表情で、唇を震わせた。
｢ち、ちょっと待ってよ！私たちは盗賊じゃないわ！｣
ミーナは怒りの表情で、メディナに向かって叫んだ。
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