航宙機動部隊第四章・43

まっかつ改  2010-05-21投稿
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それから三0分後、安史那晶子等三人はリク達の住む第邸に到着し―晶子はすぐさまそこが気に入った様子だった。
特に一面に敷き詰めたられた玉砂利に、色々な味わいのある石をランダムに置いた庭園に至っては、彼女は垂涎の眼差しを向けるのに憚らなかった物だ。
『へえ、中々良いセンスしてるじゃない』
誰に案内されるでも無く、宗教界特務は邸内を隈無く散策してはあれやこれや興味の赴くままひとしきり見て回る。
リクの起居する離れにようやく彼女を連れて行くまで、お陰で更に四0分以上を費やさなければならなかった。
そこには既に先客がいた。
ジョヴァンナ=バウセメロ。
パレオス中央通信社・人権社会部の記者、生粋のパレオス星民だ。
ふとした切っ掛けからリクに救われた彼女は、その縁を活かして今やこの屋敷を本拠として、リクやテンペの人脈を中心にこのD=カーネギー号内所狭しと調査に取材に走り回っている。
今しがたも複数の連合艦隊要人へインタビュー攻勢を仕掛けて、なにがしかの戦果を引っ提げて帰って来た所らしかった。
彼女も反太子党で志を同じゅうする事は言うまでも無い。
もっと露骨に言えば、リク=ウル=カルンダハラは総領事としての立場を利用してこの敏腕記者のスポンサー兼パトロンを買って出ていたのだ。

こうして大して広くもない離れ屋に一同に会した四人は、簡潔に自己紹介の応酬をすませる。
くどい説明を要さずとも、お互い信を置ける雰囲気がそこにはあった。
『そう言えば、安史那上級祭酒殿は私達に話があるとおっしゃってましたね』
一体どんな話なのですかとリクに問われて、畳に座ったまま無邪気に両足を伸ばした晶子は、
『それ程重大な用件でもないわ―私の任務はね、この最外縁のあらゆる異端を攻め滅ぼす事』
すると、残る三名は座ったまま即座に凍りついた。
『あ、あの―凄く深刻な話だと思うんですけど』
どうにか声帯のコントロールを取り戻した若き総領事は、控え目に異議を唱えた。
本来なら生ける格好のネタ元を確保して、大喜びの筈のジョヴァンナですら、辛うじて動かせる瞼をぱちくりさせる事しか出来ない。
テンペに至っては、青ざめた薄笑いを浮かべるのが精一杯だ。
『で、でも―私達と異端者狩りとがどう言う関係で?』
リクの疑念も最もだった。
『まさか私達が異端だとお考えで?』

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