その時有馬が、
「おかたく。早く行こうぜ?」
おかたくは、「うん」と言い、
「この話は、大体分かったよね。」
そして、おかたくは別れ際に腕をまくった。
みーくんは絶句した。
無数の痣で真っ青に腫れた腕。
「おかたく…早くしろよ?」
有馬は何も知らずにまた中へ入ってきた。
その行動で、有馬もそれを見た。
「どうした…それ。」
「助けて…もらった。みーくんと有馬には。」
おかたくはそそくさと帰っていった。
「お、おい!」
有馬は呼び止めようとしたが、失敗に終わった。
立ち尽くしているみーくんに、
「おかたくに、何かあったのかな。あの痣。」
「虐待を受けてるんだよ。」
「…うそ?」
「僕も…虐待されたことあるから、痣をみてすぐ分かる。あんなに広い範囲の痣は虐待以外ないから。」
みーくんは涙を堪えていた。
「おかたくが…虐待?」
有馬は絶句した。
「有馬。一緒におかたくを助けにいこう。今ならきっと追いつける。」
「うっしゃあ!」
有馬、みーくんはおかたくの家へと向かった。
雑木林に囲まれた集落。その1軒がおかたくの家だ。「ただいま…。」
玄関には、母…の姿。おかたくは身震いする。
犬用の皿に、家族から出た残飯が適当に盛られ、中へ入れず、強引におかたくの近くに置かれた。
「エサ。」
母親の低い声。母は妹ばかり可愛がって、僕はこういう酷い仕打ちをする。
おかたくが食べるのをたじろいでいると、
「食えよ。」
「……。」
「何ボサっとしてんだよ。」
「……。」
「食えっつってんだよ!」母親は残飯をおかたくに投げ付けた。
「こうやってゴミみたいなヤツにエサやってるだけでも、ありがたいと思えよ。」
母親はリビングに戻っていった。