『分かったよ。じゃあ3つ目は?』
「ハイ!Cプランですね!ええと…ええと〜」
語呂がいいので3つにしたのだが、すぐに思い浮かばない。病気でしょ?交通事故でしょ?あとは…
『どろぼうさんにグサッ!だね!』
ちなみにしつこいようだが、この場合のどろぼうさんとは殺人犯のことである。
「…ああ!そっか!そうですね。Cプランはそれになります」
『え〜?そんな痛いの誰も選ばないでしょ〜?』
「いやいやそれがお客様!結構いらっしゃるんですよ〜!確かに痛いのは痛いですがね、このプランを選んだ方は勇気があるということで、みんなあの世でモッテモテ!お客様もいかがです?」
『ぜっったいやだ!2つ目のにします!ところでお迎えはいつの何時?明日?』
ここで答えにつまる。
確かに先に言いだしたのはこちらだが、具体的な日時を決めるのって怖くないか?
いくら作り話としても薄気味悪いよねえやっぱり…。
『明日ね明日!夕方ならいいよ。明日のお給食は焼きししゃもだから、それ食べたいし。学校の帰りにキキ〜ガシャ〜ンね!はい決まり!』
子供の好物が焼きししゃもって…てか、給食にそんなもの出る普通?
いやそんなことより…。
「…あのう、お客様。恐ろしくはないんですか?死ぬんですよ?死んじゃうんですよ?」
いつもは怖い話を楽しみながらも、恐怖で寝付けなかったりすることもあるのに、今日はやたらとテンションが高い。
さっきまで【死神】を恐れていたのが嘘のようだ。
『だって痛くないんでしょ?なら全然平気〜!天国行ってみたいし〜!』
そうなのか?
確かに痛いよりは痛くないほうがいいに決まっている。でも仮に全く痛くないとして、じゃあ死んでみようかと思える人がいったいどれだけいるだろう。
死の恐怖とは死ぬ瞬間の痛みや苦しみだけではないはずだ。未知の世界への恐怖、この世と永遠の別れとなる恐怖…。
子供だからか?いや、小3ともなればそういった恐怖の意味も分かるはず。
…ただ単純に作り話と割り切っているから平気ということなのだろう。
腑に落ちないながらもとりあえずそう解釈することにした。
…明日になってから急に怖がって、クルマに轢かれるから学校行かないなんて言わないよね??