シークレット†ハート (好き…だけど)

刹琉  2010-05-23投稿
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秘密の恋をした。
あの日、私に優しく微笑んでくれたあなたに。
私はまだ小さかったけど、確かにあの日、私の胸の中であなたへの恋は始まったの…。

    †
「お兄ちゃんっ!お兄ちゃんっってば!!起〜き〜て〜!!」

毎朝の恒例行事。
私の第一声で、ウチの中は動き出す。

「ほらぁっ!早く起きないと、ご飯食べる時間無くなっちゃうよ!?いっつもお兄ちゃんが言ってんじゃん!朝メシはキチンと食べろって!!」

布団にくるまり、モゾモゾと身じろぐそのお尻の辺りをペシンと叩く。

「……もう少し…寝かせて………」

掠れたような、くぐもった声。
………私だけが知ってる、大好きな声。
はぁ〜、とため息をつく振りをしてもう一度、今度は強めにベシンと叩く。

「もぅっっ!ホントに起きないと学校、間に合わないよ!?私、後は知らないからね!?先、ご飯食べてるから!!」

そう言ってくるりとときびすを返し、ドアノブに手をかける。

「……今、オキマス。………ありがとな、雪月花(せつか)」

ドアが閉まる瞬間、お兄ちゃんの声が聞こえた。




「いやぁ〜んっ♪セッカぁ♪♪見て見て〜♪今日も生徒会長殿、最高カッコイイ〜!!」
「は‥初音ちゃん、ココ教室…。もちょっと声、小さく…小さくね?」

教室の窓から柔らかな春の陽射しと共に、校庭のざわめきが微かに聞こえてくる。
窓際の後ろの席。
居眠りとひなたぼっこ。
そして…大好きなあなたを、心おきなく見ていられる特等席。

「なんだぁ〜?反応悪いなぁ〜?セッカってば。…まあねぇ。セッカは会長殿の妹だし?あ〜んな姿もこ〜んな姿も見放題だもんね。今更教室で爽やか〜な会長殿を見たところで、なんとも思わんか。…羨ましいのか、憐れなのか…。ね?」

「兄妹って言ったって………義理……だもん…………」

初音ちゃんに聞こえるかどうかの小さな声で、つぶやく。

「はいはい。よ〜く知ってます!あんたとアタシ、何年の付き合いになると思ってんの?」

  ぐりぐり☆
おもいっきり、頭を撫でられる。
そう、初音ちゃんとは幼稚園の頃からの大親友。     だから知ってる。
ウチのママと、お兄ちゃんのパパの再婚。
私が小学1年生の夏休みのコトだった…。

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