「…」
メディナは僅かに首を捻って、ダリルの首筋から剣を離した。
「くっ…」
ダリルは首筋をさすりながら、唇を噛んだ。
「何を盗んだのかしら?」
「え…?」
ミーナは予期せぬ質問に驚いて、目を大きく見開いた。
「それほどの剣幕で盗賊でないと言い張るのなら、何か別の目的があって宝物を盗んだのでしょう?違うかしら?」
「そ…そうよ!私たちの盗んだのは…」
「ミーナ!」
エナンは大声でミーナの言葉を遮った。
「え、エナン…」
ミーナは何かに気付いて、慌てて口を噤んだ。
「メディナさん…で宜しいですかね?」
「構わないわ」
「あなたはとある村で大爆発が起こったのをご存知ですか?」
「ええ」
メディナは僅かに眉を動かして、頷いた。
「その大爆発の原因はご存知ですか?」
「知っているわ」
「え…?」
リリア、ミーナ、ザック、ダリルは一斉に驚きの表情を浮かべた。
「あなた達もそれを知っているの?」
「はい」
エナンは小さく頷いた。
「なるほどね」
メディナは髪を掻き上げると、剣を鞘に収めた。
「詳しい話しを聞きましょうか」
「ありがとうございます」
エナンは頭を下げて、綻びそうになる表情を懸命にこらえた。