01.出会い
放課を知らせるチャイムが鳴って、皆一斉に動き出す。
部活に行く人、帰る人、隣の教室を覗きに行く人。
皆それぞれの放課後を過ごしている。
そんな中、私は1人机で鏡を見ていた。
その鏡の前で髪を整える。
ショートだからそんなに時間はかからないけど、串を何回も何回もかける。
そしてセーターに髪の毛が付いてないことを確認して、大きく深呼吸してから教室をでた。
私が向かったのは、2つ隣の3年E組。
戸が開いていたから中を覗く。
何人かの人が中にいたけど、私が探している人はいなかった。
探していた人は、私の片思いの相手の結城光くん。
好きになったのは約半年前。
私の一目惚れだった。
探していた訳は特にないけど、好きな人って1日1回は見たいでしょ?
でも今日は見れなかったなあ。残念。
告れればいいのに。
無理だけど。
そんなに積極的じゃないんだよね。
かと言って、消極的でもない。
普通?
よく分かんないや。
このままずっと片思いで終わりそう。
結城くんの眼中には私なんて入ってないんだろうし。
告ったところでフラれるのが落ちかな。
私は大きなため息をついて玄関へ向かった。
*
ユウカ呼ぶの忘れた。
学校から出て数分経ったときにそう思った。
ユウカとは小学校からの親友で、クラスは違うけど今でも大の仲良しなんだ。
いつもは私が帰るときになったら、ユウカのクラスに行って一緒に帰るのに、今日はユウカのクラスに行かないで学校出ちゃった。
怒ってるかな、ユウカ。
そのとき、携帯が鳴った。
見てみると、ユウカからの着信だった。
私は意を決して電話に出た。
「もしもし―――」
「リク、今どこ?!」
あまりの声のボリュームに、私は携帯から耳を話した。
耳がキンキンして痛い。
でも私は痛みを堪えて携帯を耳にあてた。
「ごめん。ちょっといろいろあって……。先学校出ちゃった」
「そっか。じゃ私も帰ろ。今どの辺?」
「河原のとこ」
「じゃ今から行く!」
そう言ってユウカは電話を切った。