二人はあの後私服に着替えて帰ってきてからするはずの買い出しに出た。
「ねぇ・・・ここ嫌いなんだけど。」
「・・・あのさぁ、無理無茶いわないでよ。デパートに来て人少ないところ探す方が大変なんだから。」
麗久はなんとか純弥を説得するが不機嫌な顔は直らない。
「ねぇ・・・・・」
「何。我慢してってば・・・・」
「やだ。」
わがままな純弥に麗久は頭を抱える。
「・・・人が少なくなってからの方が楽でしょっ?」
純弥はイライラが限界に来ているようだっので麗は仕方なくデパートを後にする事にした。
「・・・出ては来たけど、何するつもり?」
特別にすることがないので、目に止まった喫茶店に入ることにした。
「二名様ですね。こちらへどうぞ。」
店員が愛想良く笑って端の席に案内した。
「何かいる?」
「・・・・お腹にたまらないの。」
純弥はボソリと言った。何か考えているようだ。
「どうかした?」
「・・・・・別・・・」
人がいないので不機嫌には見えなかったが無愛想に磨きがかかっていた。
(スカイラークにあったのも・・・こんな喫茶店だったな)
純弥は想い出の中で一度夢のような恋をした。