チンゲンサイ。<41>

麻呂  2010-05-25投稿
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『本橋先生。

先生にも、子供を持つ親の気持ちはお分かりですよね?!』


ユキエの、ぶしつけな質問には、隣に座る俺の方が驚いた。

そもそもユキエは、こういう場面で自分の意見を積極的に述べるような女ではない。


どちらかと言えば、引っ込み思案なタイプだ。



『ほっほっほ。

そうですね。私にも2人の子供がおりますから。』



本橋は動じる事無く、ユキエが一体何を言いたいのか、


全てを見透かしているかのように、話している間中、ずっと視線を外す事は無かった。



教師生活も長くベテランにもなれば、こういう場面に遭遇する事は多々あるのだろう。



今日、こうして俺達が来る事を分かっていたかのような落ち着きぶりに、


俺は、今思いついた行動を、起こすべきかどうかを考えていた。



『本橋先生。

これから、ホームルームですよね!?

ちょっと、クラスメイトの方達に一言お話させてください。』



そんな優柔不断な俺の考えなど述べる間もなく、


更にユキエがこう付け加えた事は、


さすがに、俺にも予測不可能だったのと同時に驚かされた。


それは、俺もユキエと同じ事を考えていたからだ。

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