周りの霞みが晴れていく‥
いや、晴れるとゆうより、それは『消える』ような景色だった。
そして、龍一は目覚めた。
「う・・・」
白い天井が見える。ここはどこだろうか?どうやらベッドに寝ているようだ。
「あら・・・起きた」
ベッドの脇のデスクの椅子に座っている女がつぶやいた。
「俺は・・・?」
とりあえず体を起こしてみる。全裸の体に薄い布団が掛けられていた。
「おはよう、藤堂龍一君。」
声がする方に目を向ける。白衣を着た女が、物珍しそうに、こっちを見ていた。
「わっ、わっ!」
目が会った瞬間、慌てて全身を布団で隠す。
「あら、かわいい。」
女は赤面した龍一の顔を見ながら、クスリと笑った。
「あ、あなたは・・・?」
ドギマギしながら、龍一は聞いた。
「『ホーム』医務室室長、薬院 彩実(やくいん あやみ)。よろしくね。」
笑った顔のまま、彩実は答えた。
「は、はぁ・・・」
笑った顔の彩実を見て、龍一はさらに赤面した。
彩実は驚くほどの美人で、まるでファッショッン雑誌に写るモデルのような女だった。
その笑った顔で見つめられた龍一は、とてつもなく恥ずかしい気持ちになった。布団で隠しているとはいえ、全裸であることには変わりない。
(何か着るもの・・・!服はどこだ・・・!)
布団から出している顔で辺りを見回す。
「あら、お探しの物はこれかしら?」
キョロキョロしている龍一に、彩実は何かを差し出した。
それに気付いた龍一は、差し出された物に、目を丸くした。
「こ、これって・・・」