優はまたもや挑発的な口調とセリフで杉本にも言ってきた。杉本も「確かにね」と、また不敵な笑みを返したてきた。
「じゃあ、次の質問だ。何故彼らは最大の武器である拳銃を使わずにそこら辺にあった尖った棒で人質を取ったのだと思う?君の見解を聞かせてくれないか?」
杉本は一番気になっていたことを聞いた。この質問のために優の家に来たのだ。
しばらく優が考えると
「さぁ?拳銃を青山雪野が使わずにそこら辺であった棒で済ませたとしたらもう球切れだったのか……いやそれでも脅しの道具としては使えるか。京都が流石に拳銃を使ったらまずいと青山雪野に指示したかもしれないですね」
優はお手上げ状態なのか手をあげて答える。杉本が事前に予想していたことと大体一致していた。やはり親友の目線で見てもそうなのだろうか。と、思った杉本は礼を言って次の質問をしようとした時だった。
「まぁ一番しっくりと来るのがあいつらははじめから拳銃を持っていなかったってことですかね」
優は笑いながら杉本の方を見た。
「……持っていなかったとは?まさか彼らが凶器を放棄したというのかい?」
杉本が一瞬間をおいて問い返すと
「それもあり得ますが俺が言いたいのは、あいつらが…青山雪野ははじめから人を殺していないということですよ」
優は暗黙の了解となりかけていた犯人否定を警察の目の前で言ってしまった。完全に警察を敵に回してしまった。
それに対して杉本は
「面白い事を言うね。君も警察から青山雪野がどうして犯人になったのか聞いただろ?」
杉本がもう一度優の目の前で資料を読み返そうとすると
「まぁ、あくまで推測の話としてですけど」
と、優は売り言葉に買い言葉を返した。
「確かにね。しかし、生徒手帳の件で証拠は確実になったんだ。疑う余地はない」
杉本はこのときはじめて優に対して冷たい言葉で返答した。
「僕からも一つ聞いていいですか?」
自分の一人称を“僕”と、直して少し下手に出て杉本に初めて質問し返した。この下手に出た行動には気まずい雰囲気の中で少しでもスムーズに杉本から情報を聞き出すための行動だったのだが杉本はこの優の行動を見抜いていたが、ここはあえてこの策に乗ってきた
「なんだい?優君」