「一緒に帰らへん?」
突然そう言い出したのは隆一だった。光希は他のメンバーと別れ、スタジオで兄が仕事を終えるのを待っていた。
隆「悪いな、待たせた」
光「別に。…でも、一緒に帰るってことはうちに帰るってこと?今お兄ちゃんが住んでる家じゃなくて…」
隆「帰る…んじゃないねんけどな。それより、お前はまだ迷いがあるやろ?」
光「迷い…というか、この道で正しいんかなあ…って…」
隆「でも、もうその道にするって決めたんやろ?」
光「うん…」
隆「光希、もうやってしまったこととか決めたり選んだことを今さら悩むな。過去に選んだことが正解だったとか不正解だったとか考えても無意味や。大事なんは“今”何を選んで何をするか。過去を“正しかった”ってするには、今を頑張るしかない。悩まなあかんのは今と先やろ?あってる選択も間違ってる選択もない。後で後悔するとしたらそれは選んだ自分が悪いんじゃない。悪いのは選んでからの自分やねんから。もう選んでしまったなら、今さら迷わず覚悟しろ。」
光「…」
隆「…俺も今日、腹をくくるつもりや。そのために、久々の家に帰るんや」