そう笑顔で聞いてきた杉本に、優は先ほどまでの不敵な笑みを完全に消し去り真剣な表情で……
「なぜ、未成年である青山を全国指名手配にしたんですか?青少年保護法はどうしたのですか?」
真剣な表情でただでさえ目つきの悪い目に縦ジワを入れて聞いてきた。優もこればかりは謎だったのだろう。先ほどの警察は地元警官で詳しい情報を持っていなかった。
「すまないが、僕もそこまで情報をもって……」
「もっていないわけないでしょ?本庁の警察で先ほどの地元警察が知らなかった情報までもっていたあなたが」
そこばかりは杉本も誤魔化そうとしたが、鋭い指摘につい言葉を失ってしまった。何か先ほどの会話の中に地元警察が知らなかったことをしゃべってしまったのか?知らないことを聞かされても知っているふりをしていた優に少し感心したのか
「君は優秀な警官になれるよ。確かにこればかりは僕も不思議に思っていたことだ。上層司令部の回答は『未成年者の銃犯罪は未だかつて例が少ない。凶器の銃はまだ見つかっていない。次の被害者が出る前に捕まえないといけない』ってことだ。これ以上は僕も本当に知らないから勘弁してくれ」
今度は杉本がお手上げポーズで答えた。杉本は情報の出し惜しみは一切しなかった。これはこちらが優を完全に信用していることを指していたことを優に教えるためだった。優も杉本の意思が分かったのか表情が少し柔らかになった。
「しかし、何だったのかな?地元警察が知らなかった事実ってやつは……次から気をつけないといけないから教えてくれないか?」
と、杉本は優から聞いたら優は急に笑い出した。
「実は、あれはカマをかけただけですよ」
と、笑いながら答えると杉本も笑いだした。二人の笑い声が部屋に楽しくこだました。
「全く、鏡君と言い君と言い油断もできないね」
杉本は腹を抱えながら笑っていた。そして、笑いもだいぶ落ち着いてきた時だった。
「では、最後の質問だ。これは僕が個人的に思っていたことなんだが、君は何故何が何でも警官になってやるなんていったんだい?」
杉本が優に思っていたことを聞くと、優の表情は先ほどから一遍して殺気すら漂わせた。その並みならぬ殺気に流石の杉本もビクッとしてしまった。
「それは……六年前の事件です」