星空の向こうに 五章 前

あおい  2006-08-27投稿
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五章 友達 前

昼休み、屋上に来た鈴奈。
「うぅ・・・なんか寒気がする・・・。」

不安な気持ちのまま、そっとドアを開ける。
屋上の手すりに手をかけて、桜が立っている。

「さ、桜。なんか用?」

恐る恐る声をかける。

「鈴奈、あんた私が楓君好きなの知ってるでしょ?」

少しきつく言ってきた。
「う、うん・・・なんとなくは。」

バシッ!桜が私の顔をたたいた。
「人の男取らないでよ!!」

涙を流しながら、悔しそうに桜が言ってきた。
「な、何言ってるのよ!!桜の男じゃないじゃん!楓は私を選んだんだよ?」

そうだよ・・・楓が私を選んだんだもん!
桜には関係ないよ・・・

「本当に好きでもないのに・・・楓君を惑わせないで!!」

桜は思いっきり私に言った。
もうこのとき、友達なんて関係なかった。

ただ・・・好きって気持ちがあるかないかだけ。
「私だって好きだもん!!」

思いっきり言ってやった。
桜には可哀想だけど・・・本当だし。

「嘘つき・・・私になんか恨みでもあった?酷いよ・・友達なのに・・・。」

桜はいつの間にか泣いていた。
私が泣かせてしまったのだ。

でも・・・
「友達なんて関係ない。私は楓が好き。ただそれだけなの。楓には・・・ずっとそばに居てほしい。それだけ!!」

あ・・・なんて私って小さいんだろうな・・・

友達裏切ってまで・・・一緒にいたい・・・

けど・・・友達じゃなくなるのって・・・辛いことなんだね。

いつの間にか私も泣いてしまった。
桜・・・御免ね。



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