『六年前の事件』
その言葉に杉本の眉をひそめた。
その言葉にいろいろな記憶が杉本の脳裏によぎっていくが、ふとある事実に気づくことになる
「やすいやすい安井…………まさか！！！」
杉本が驚いて優の顔を見ると
「そうです。僕は六年前に起きた一家惨殺事件で殺されたはずの安井優です」
その優の言葉に杉本は言葉をまた失って口をパクパクさせていた。
「六年前のあの時に殺されたのは僕の親友だった鏡京都の実の兄貴である鏡 京我（かがみ きょうが）です。あなたも警官ならば六年前の事件は知っているでしょ？あっけど、六年前だったらあなたはまだ学生でしたか」
優がそういうと
「いや、十分知っている……あれは悲惨な事件だった」
杉本は、まだ呆然としながら答えた。
「事件のとき僕は中学校の林間学校で出かけて、鏡京都は小学校の林間学校で家を離れていたのです。そして安井家は父・母・俺・妹の四人と鏡兄弟二人を加えた六人家族ですが・・戸籍上は安井家四人家族と鏡兄弟二人と区別されていたのです。その偶然が重なってあの記事になったんですよ」
優はところどころはしょって説明をしたが、杉本には今の説明で十分だったのか口元を震わせていた。
「なるほど………だけど、犯人は捕まって今も刑務所にいる………君が警察になる理由はなんなんだい？」
確かに自分の家族を殺した犯人が捕まっているのだったら警察になって捕まえる事が出来ないはず………何故なるのだろうか？そう杉本が問うと優は不敵な笑みで答えてきた
「それは、これ以上凶悪犯罪を発生させないためですよ」
そう答えた優には明らかに殺意と悪意が込められていた。
その後、杉本は聞きたい話を全て聞き終えたので優のアパートを後にした。アパートの階段を下りた杉本に優が
「また、何か聞きたかったら来てください」
と、不敵な笑みで答えた。
その笑みをみた杉本は、鏡京都といい、青山雪野といい、この安井優も中々の曲者だ。と思っていた。
「（しかし………まさか安井優と鏡京都が六年前の事件にかかわっていたとは………）」
杉本の顔には、言葉にしがたい表情が写っていた。
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