生命線上のARIA

晩餐者  2010-06-02投稿
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誰かが言っていた。

『時代は回転木馬』

だって。

きっと皆それに乗って、
振り落とされそうな速度
の中で、
走馬灯のように巡る眼前
の景色を
必死に焼き付けようと
してるんだろう。

振り落とされたら
豆腐にぶつかって死んでしまうから、
恐々と薄ら目で。


『この空も暗闇も、心を写す鏡』

分かってるよ。

『ならば変えていける』

僕にそんな強さがあるのかな。

『いつだって、その心が世界だろ』

そう思いたいし、
感じたい。


けど、やっぱり怖いんだ。
今目の前に、黒くて広い、きっとおそらく果てもない、大闇原が広がっているのが見えるから。



多分、そこには誰かが言う生命線がある。
とても細い、大道芸の綱のようなそれを、
華奢で繊細なARIAが歩くんだ。

ARIAは周りを見回してびくびくしながら、
時折闇がうごめき人影に見えたらそれの顔色を伺いながら、
時代に綱を揺らされて、
吹きすさび罵倒する風の声に涙して、
それでも前に進むしかないから歩くんだ。

他に線などないのだから。
他に線があったとして、
そちらに移ったとしたら、
それはARIAではなくなってしまうのだから。
一つの線を行くからこそ、
ARIAは紡ぎ出されるんだよ。
はかない音色を奏でながら。












ああ、分かってるよ。


あれは、
あのARIAは僕だ。


弱くてか細い、
僕の心だ。

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