私はいつもこのキツイ坂を自転車で上って部活へ向かう。
でも、あまり苦じゃない。
吹奏楽部だが、体力は同級生の部員の仲では一番だろう。
私はこの坂を上るのが毎朝毎朝楽しみなのだ。
坂を上りきったところに、
カップルがよく風景に合ってない大きな丸太に座って
イチャイチャしている。
私はこれを見ると無性にテンションが上がる。
でも今日は違った。
丸太には見たことのある顔が座っていたから。
しかも、イチャイチャするわけでもなく・・・。
彼女は幸せそうな顔してるのに、彼は・・・
無表情。
彼だけ倦怠期か?
よく顔を見ると、バランスを崩すぐらい衝撃が走った。
そのカップルの正体が
私のパートのリーダーの永嶋先輩と、
フルートの部一の美人、田中先輩だったからだ。
目を合わせないように、去ろうとしたら、
全く間が悪い。
永嶋先輩が声をかけてきたのだ。助けを求めるように・・・
「瑠璃ちゃん!!」
「はう!!こんにちはさようなら!!」
私は混乱してしまって慌てて一通り意味不明な挨拶を述べて、
自転車を飛ばして、学校へ向かった。
ああ・・・どうしよう。
部活で合わせる顔が無い。
この夏休み一番の衝撃だった・・・。