「そうなの?単なる思い違いかも知れないよ」
慰める様に優しく囁く少女に頭を振り更に怒りを露にする。
「気休め言わないで…名前も呼んで貰えない気持ちなんて分かるはずない」
気まずい沈黙が続いた後、少女が突然歌い始めた。
「…勝〜って嬉しい花いちもんめ」
「えっ?」
ミカが驚いて瞳を見開いて少女を見ると、手を差し延べながらニッコリと微笑んだ。
「私が名前を呼んであげる…二人で遊ぼう!ほら続きしよう」
ミカは嬉しくなって笑顔を見せる。
「負〜けて悔しい花いちもんめ…ミカちゃんが欲しいジャンケン…」
少女が楽しそうに歌いながらジャンケンを誘導する。
何か…ちょっと違うけど楽しいからいっか…。
そんな事を思いつつも、ミカは少女に合わせてジャンケンの態勢に入る。
『ポン!』
二人が同時に手を前に出した。ミカはチョキで少女はグーだった。
「負けちゃったー!」
ミカが言うと少女も笑顔で答える。
「うん。私が勝ったからミカちゃんの事…貰うね」
えっ…
少女はそう言うと公園を走り去って行った。その姿はミカそのものだった。
そしてそこにはミカで無くなったナニか…がいた。