「お久しぶりです。元気でしたか?」
「ええ…」
お決まりの丁寧な言葉のやりとりが、義人とりおの間で交わされた。
お互いに、何度会っても変わらないままである。
「ご飯どうしますか?」
「行きたいラーメン屋があるんだけど…っていうか、同伴前に、あまりムードがなくてすいませんけど…」
「全然いいですよ〜私も高級そうなところは、苦手ですから
義人さんの好きなところで」
「そうッスか。じゃあ、お言葉に甘えます」
とりあえず、2人は買い物をすることにした。
「仕事…忙しいですか?」
「ええ…。テーマパークってゆう職業柄、休みも、こうやって年二回くらいまとめて取れる程度ですから」
「私は、ほぼ毎日ですね…」
「無理してないすか?」
「大丈夫です。義人さんに会えることで、元気貰ってますから」
「ありがとうございます」
義人にとっては、それが、りおの営業的な返答だとしてもありがたかった。
(返事の仕方は、俺以上に、上手いなあ…。本心を知るのは怖いけど)
だが、りおは、義人に対して、営業的なつもりで言っているつもりはなかった
しかし、お互いに牽制してしまい、本心に触れることが、出来ないでいた。
りおは、指名客が数人いたが、いずれも妻帯者だったため、ここ最近はいなかった。
また、義人のような、お人好しすぎる客もいなかった。
だからこそ、義人に対しては、今までにない感情を、抱いていたのだが、それを上手く伝えることが出来ないでいた。
「りおさん」
「はい?」
「改めてお礼を言うけど、今回も時間を作ってもらってありがとうございます」
義人は、深々と頭を下げた。
「そんな…私こそありがたいですよ。そんなに、改まらないでいいですよ」
「全然。これが、俺にとっては、普通だから」
「そうですか〜?」
「あっ、りおさんは、普通に話してもらって構わないッスよ
全然、気を使わなくていいから」
「すみません…」
2人の、このようなやりとりは、店に向うまで続いた。
ほぼ同時に、店に着いた哲彦と義人は、先に待合室にいた剛夫と合流した。