さる偉い心理学者様の話によると、
黒い服は防御の心理なのだそうだ。
また、アクセサリー類も、武装して守ろうとする心理なのだそうだ。
となると、街は多分戦場なんだろう。
視線は銃弾ってところか。
ならば、僕は年中戦っているわけだ。
久しぶりの休日。
大っ嫌いなスーツと襟付きボタンシャツも、
今日は着なくてもいい。
休みの日くらい、
好きな恰好がしたい。
クローゼットという名の兵器庫と、しばらく睨み合う。
街が戦場なら、
今日行くのはまさしく激戦地だから。
…あれ?なんか休めてない?
…まぁいいか。
吟味するのは、
兵器の使い分けに似ている。
砂漠での戦闘に寒冷地仕様で行ってもダメだしね。
悩んだ揚げ句、
シェラックの黒いドレスシャツを身に纏い、
トロワゾのブラックデニムに脚を通し、
キリュウキリュウの黒いフーデットジャケットを羽織る。
アクセントにロエンのガスケット、
ショールのダイヤモンドパイソンレザーブレス、
シンパシーオブソウルのブラックスピネルネックレスと、
プエルタデルソルのナイトチェスペンダントを重ね付け。
指はビルウォールのスプーンドリフトリングと、
ホロウのダージュリングでシンプルにおめかし。
靴は、ヒロムタカハラの黒いバターナイフシューズに決めた。
煙草をシガーケースに詰める。
まるでピストルの弾をこめるように。
これだけ重武装なら、
今日も戦地から生きて帰れるさ。
…待てよ。
俺は何からこんなに身を守りたいんだ?
何を攻めようとしてるんだ?
何と、戦っているんだ?
今日は、休日なのに。