君と見た空*1の3

玲唯  2010-06-07投稿
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「リクっていい名前だね。可愛いし」


 そう言って、アオトはニカッと笑った。


 その笑顔と言葉に、私はなぜかドキドキしてしまっていた。


 何してんの、私。
 好きな人いるのに他の人にときめくなんて。


 そんな時、後ろから私の名前を呼ぶ声が聞こえた。


 声の聞こえた方をみると、そこにはユウカがいた。


 ユウカは土手の上から私に向かって手を振っている。


 私は手を振り返して立ち上がった。


「じゃ私行くね」

「え……うん。分かった」

「また会ったら、話そ」


 何でこんなこと言ったんだろ。


 私には好きな人いるのに。


 そう思いながら、私は土手を駆け上がった。


「リクの隣にいた人、誰?」

「ああ、知らない人。でもいい人だったよ」

「彼氏かと思った!」

「ちょっと止めてよ。私は、結城くん一筋なの!」

「何その台詞。青春だねえ」


 そう言ってユウカは、肘で私を突いてくる。


 私は身を捩りながらそれを交わして、ユウカの先を歩く。


 そして振り返って見えたブランコには、アオトの姿はなかった。


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