あたしの額に額を押し付けたまま、君は静かに歌い出した。
流れるような歌だった。
たゆたうような歌だった。
その調べは子守唄とよく似ていて。
あたしはいつしか泣き出していた。
心が洗われていった。
気持ちが澄んでいった。
もう何も怖くないよ、と。
君はやわらかな唇を微笑ませて教えてくれた。
あたしは泣きじゃくったまま、何度も何度も頷く。
温もりってこういうこと。
命ってこういうこと。
それを信じさせてくれた。
何もなかったあたしに、意味を与えてくれた。
奇跡の中に連れ戻してくれた。
ありがとう。
そんなんじゃ足りないけど。
せめて一万回くらい言わせてほしい。