さぁ皆の者 爪を切れ
長く伸びた その爪を
命はいつか 消えていく
それは明日やも
知れぬのだ
長く伸びた死者の爪を
冥府で欲する者がいる
死者の爪を剥がしては
船を造る者がいる
やがてその船出来たなら
怨み持つ死者引き連れて
地上へ向けて 舵を取る
恨みと憎しみ引き連れて
冥府を越えてやってくる
明日死ぬやも知れぬのに
なにゆえ人は爪を伸ばす
悪魔のように伸びた爪
欲する者が
冥府に居るのに
明日死ぬやも知れぬ事
忘れ去ってしまったか
いつ死ぬやも知れぬ事
すっかり
忘れてしまったか
無理もない
それは確かに無理もない
垂れ流しの自堕落は
何もかもを忘れさせる
無理もない
それは確かに無理もない
どうせ爪を切ったとて
人はいずれは死んでいく
死んだ亡き爪かき集め
船はやがて出来上がる
船は必ず出来上がる
人が生まれ続ける限り
人が必ず死ぬ限り
時が流れていく限り
船は必ず出来上がる
さあ皆の者 あきらめろ
黄昏の 刻は近い