子供のセカイ。174

アンヌ  2010-06-11投稿
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「なぁ、そろそろ寝ないか?俺、けっこう疲れてんだけど。」
「そうだね。じゃあ、私はこれで。」
そう言ってミルバは、くるりと美香達に背を向け、部屋から、それどころか家から出ていこうと、玄関に向かって歩き出した。
当然、美香と耕太は驚いて声を上げる。
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
「俺達をコルニア城に連れていってくれるんじゃないのか!?」
ミルバは廊下で立ち止まり、くるりと振り返ると、困惑した二人の顔を静かな表情で仰ぎ見た。
「家のベランダからラディスパークを見渡してみるといい。私達はすでに城が見えるところまで来ている。君達だけでも、迷わず辿り着けるさ。」
美香は思わず言葉に詰まった。
本当はさっき窓から外を覗いて、コルニア城が見えることは確認済みだったのだ。
コルニア城は密集する建物の中でも群を抜いて大きく、昇ったばかりの朝日を浴び、直視することができないほど眩しい白銀に輝いていた。しかし城の構造は、以前家族でディズニーランドへ行った時に見た、シンデレラ城を彷彿とさせた。舞子のイメージで作られた城ならば、恐らくモデルはそこから来ているに違いない。
そう、確かに城までの道筋はわかるのだ。ただ、そうではなくて。
恐ろしく強くて頼りになるミルバが、自分達から離れてしまうことに強い不安を覚えたのだと、今ミルバに突き放されて初めて気づいた。
耕太も同じだったようで、「そりゃそうだけど……」と、言葉を濁したきり、うつむいてしまう。
ミルバは、落胆した様子の子供たちを見遣ると、大仰な溜め息をついた。
「……人の話は最後まで聞けと、教わらなかったのかな?私は君達を城に案内することはできないが、君達の味方であることに変わりはない。」
「味方なら側にいればいいだろ?」
大人にうまくはぐらかされているような気分になり、耕太は唇をとがらせる。それを見て、小さなミルバは珍しく微笑んでいた。



アンヌです。投稿が遅くなってしまってごめんなさい。
携帯を変えたので、作者ページが変わる可能性があります。その辺り、どうぞよろしくお願いしますm(__)m
では、引き続き物語を書き進めていきたいと思います。いつも見てくださる方、たまに覗いてくださる方、そして管理人さん、本当にありがとうございます。これからも頑張ります!

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