『好きよ』
その言葉を口にした途端涙が溢れた
我慢してきた
あなたに迷惑をかけないように
あなたを困らせないように
あなたが『ありがとう』と優しく言うから切なかった
言うつもりはなかった言葉
告げるつもりはなかった恋愛感情
終わりだと思った
始まりを告げる言葉が私たちには終わりだった
『嬉しいよ』とあなたは笑ったけれど私は泣いた
私たちに障害さえなければ
思い描いた未来を二人で実現出来たら
触れる度に孤独は増え
想いを重ねる度に罪を重ねる
『俺は駄目だね』と言われる度に想いは虚しく存在する
涙を拭って笑ってみてもあなたが遠くて
あなたが『好きだよ』と囁けば私は錯乱する
私たちの出会いを遅すぎたと悔やみ
これも運命だと哀しく受け入れる
『また会おう』と言われたら『次はいつ』と聴きたくなる
『楽しかったよ』と言われたら『何が』と聴きたくなる
『じゃあね』と言われたら『行かないで』と言いたくなる
私はこれからそうやって我が儘になり
あなたを求める
言えない言葉を飲み込んで笑顔を作って
あなたが欲しい
その想いは大きくなり
あなたがいなくても
そうやって強がりを作る
触れた手も
触れた唇も
交わした言葉も
全て大切な想い出で
全てがあなたになる
この世界であなたに出会い
想い合い
それだけで私は満たされる
悲しいことが沢山溢れるから嬉しいことが奇跡だと思う
我慢が増えるから幸せが夢になる
あなたとなら夢を見れる
いつか夢から覚めたとしても私はあなたの存在を忘れない
隣で笑ってくれたこと
私を見てくれたこと
愛してくれたこと
例え一番になれなかったとしても
私にとってあなたは一番だった
慣れないあなたの愛の言葉が大好きだった
愛の言葉をくれたあなたの優しさが大好きだった
その後に申し訳なさそうに俯くあなたがどうしようもなく悲しかった
私はあなたがここにいてくれたらそれだけで奇跡だった
限られた時間
限られた愛
二人の秘密
二人しか知らない世界
それも二人の愛だった