別にこの物語の舞台を地獄に持っていきたいと考えているわけではない。ただ子供の困ったカオを見たいだけのSな母親なのだ…。
「そうじゃ!お嬢ちゃん、地獄のキャンペーンガールにならんか?」
『なにそれ…』
「…ああ、キャンペーンガールというのはだな、まあなんというか、アイドルみたいなもんじゃな。歌ったり踊ったり、モテモテで楽しいぞお〜?」
『…鬼にモテてどうすんの』
うちの子も人並みにアイドルに憧れていたりはするのだが、さすがに地獄のアイドルでは食いつきが悪い。
しかしせっかくなのでもう少し【地獄ネタ】でひっぱりたいな…。
「…なら一度見学ツアーに参加せんか?実際地獄を見てから決めても遅くはあるまい」
『やだ』
「目玉は…そう!針山ハイキングじゃ。針山の頂上で食べるお弁当はおいしいぞお?」
『やだ』
「(…地獄ってあと何があるんだっけ?)そうそう!お宿は血の池温泉でお肌つるっつる」
『やだ』
「あとはそうじゃな…せっかくだから鬼たちとキャンプファイヤーとか」
『やだやだやだ!ぜっったいやだ!!!』
…だめか。
できればこの後地獄観光ツアーに参加する方向で話を進めたかったのだが、これだけノリが悪いのでは盛り上がりそうもない。
「…仕方あるまい。閻魔どの、では天国行きで決定でよいかな?」
『やった〜!ユリウスさまありがとう〜!!!』
(ちなみにユリウスとは某テレビゲームに登場した神様の名である)
…長かった…。
ここまでずいぶんかかったが、やっと天国の登場である。
といっても天国っていったいどんなところなんだろう?やっぱりどこまでもお花畑が広がっていて…というイメージで話を進めていいのだろうか。
それでいつまでも幸せに暮らしましたとさ、おしまい。
…てな感じで終了?…う〜ん…なんかものたりないな…。
『ねえ死神太郎!早く天国行こうよ〜!』
…ああ、まだその設定生きてたのね。
「かしこまりました、では参りましょうか。それでは…」
『くじらは?くじら!』
「はっ!?くじらでございますか!?」
『白くじらの背中に乗っていくんじゃない。忘れたの?』
…クジラ?