――翼の家
〜♪
「兄ちゃん」
ギターを弾いていた翼が顔をあげると、部屋を覗く彰がいた。
翼「ん〜?」
翼はもう一度視線を譜面に戻した。
彰「俺もギター弾きたい」
翼「お!俺に憧れたか!」
彰「ちゃうよ」
翼「そんなあっさり否定すんなよ。まあええわ。こっち来い」
彰は頷いて翼のギターを受け取り、翼は彰に丁寧にギターを教え始めた。
翼「そうや、彰。お前、お土産何がいい?」
彰「どっか行くん?」
翼「明日から東京行くねん。」
彰「あぁ大会か。頑張ってな。後悔せん演奏ができるように」
ギターを弾く彰を見ながら翼は黙って頷いた
――聖二の家
賢「聖二」
突然部屋に入ってきた兄を聖二は横目で睨んだ。
聖「何?」
賢「お前明日から東京行くんやろ?大会は明後日やのに。交通費やらホテル代やらどうすんねん」
聖「自分の貯金から出すよ。関係ないやろ?出てけよ」
賢「ふうん。じゃあ…」
聖二の前に数枚の金が置かれた。
聖「何…?」
賢「貸したるわ。高校生のお前じゃ大して金ないんやろ?」
聖「自分だってないくせに…」
賢「これでも一応働いてんの。いつか返せよ」
聖「……ありがとう」