『携帯小説』
というワードを知らない
方は、余りいないだろうが、簡単に説明すれば、
携帯電話を使い、ネット
等に小説を投稿する。
世間では、その小説を
『携帯小説』
と言う。
更に話を聞いて驚いた。
行方不明者を暗示しているという小説
『クライアナノナカ』
は、私自身が
『晩餐者』
及び今使っているハンドルネームで、
趣味で作品を投稿している、
同じ掲示板内に投稿されていたのだ。
灯台下暗し…
まさにその言葉が
ぴったり当て嵌まる。
私は早速、その掲示板を
調べた。
…確かに。
確かに、七回分の投稿が、
『クライアナノナカ』
というタイトルでされている。
『ディナー』
というハンドルネームで
投稿されているそれは、
主人公が様々な
『クライアナ』
に遭遇するという内容で、ホラーのジャンルに
投稿されている。
遭遇後の事は明確には
書かれておらず、
遭遇する事でほぼ終わり
となる一話完結の
怪談のような形式に
なっている。
そこで肝心なのは、
『クライアナ』に遭遇
するまでの過程だ。
七人の行方不明者の、
最後の目撃情報があった
場所、あるいは
シチュエーション。
それが酷似しているのである。
これは記者の勘だが、
明らかに胡散臭い。
『ディナー』本人が
他に投稿した話で
書いている通りに
文章は稚拙だし、
展開も強引で、作り話としか思えない内容だ。
まさか『ディナー』の
使った携帯電話が
『悪魔の携帯電話』
で、それで人々を文字通り『クライアナノナカ』へ誘っているとでも…?
…有り得ない。
私の記者としての情熱が
疼いた。
徹底的に『ウラ』を取り、『ディナー』の本性と
目論みをあばいてやろうではないか。
自分で言うのもおこがましいが、私は文才はないが行動力とフットワークには自信がある。
急いで新幹線のチケットを手配した私は、
一人目が行方をくらませた街へと向かった。
…もう文字数の限界も近い。
次からは、その
『ウラ』取り
の結果を記していきたいと思う。