「…」
リリアは眉間にしわを寄せて、チラリとエナンを見た。
エナンはリリアの方を見ながら一つ小さく頷く。
「ふう…」
彼女は大きく息を吐いて、真剣な表情でメディナの方に目を向けた。
「わかりました。協力しましょう」
「賢明な判断ね」
メディナはその返事に大きく頷いて、にっこりと微笑んだ。
「協力関係になるのはいいですが、その目的を達成する為の調査なりなんなりはしているのですか?」
「ええ、調査は既に完了しているわ。後はあなたの賞金を得て傭兵を雇うつもりだったんだけど」
「私の賞金…」
リリアは僅かに顔を青くして、息を呑んだ。
「…という事は、私たちを雇う予定だった傭兵の代わりにするつもりですか?」
「そうよ」
メディナは即答した。
「ただ、あなた達に罪を被せる気は無いわ。全て私が背負うつもりだから」
「…何があったんですか?メディナさん」
ザックは僅かに顔を歪めながら、彼女に詰め寄った。
「ザック…」
「あなたはそんな事をしようとする人じゃなかった。賞金稼ぎとしての誇りと冒険者としての強さを持っていた。いったい何があったんですか!?」
「…」
メディナは唇を噛んで一つ大きく首を横に振ると、
「あなたの知っている私はもういないわ」
と、言い放った。