チンゲンサイ。<45>

麻呂  2010-06-16投稿
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『みなさんの、ご両親にとっても、

みなさんの存在は、かけがえのない宝物だと思います。

私にとっても息子、ユウは、かけがえのない宝物です。

みなさんの身に、何か危険を感じたら、
きっと、ご両親は、ご自分の体をなげうってでも、

みなさんを守ろうとすると思います。

親というのはそういうものです。


例えば、

みなさんのご両親は、みなさんが誰かに、“キモイ”とか“死ね”とか言われた事を知ったら、

どんなお気持ちになるでしょう。

多分、ご両親は、

キモイ子を産んだ覚えはないし、

死ねと言われるような子を産んだ覚えもないと、

悲しいお気持ちになるはずです。

言葉は、時として、暴力と同じくらい、人の心を傷つけます。

そして、

人を傷つけた人は、人に傷つけられた人よりも、

心に深い傷を負う事にもなるのです。

そういう方を、

私は知っています。

息子の事は、厳しくしつけてきたつもりですが、

もし今後、息子がみなさんに、ご迷惑をお掛けするような事がございましたら、

こちらの、担任の本橋先生を通してでもかまいませんし、

私どもに、直接言って頂いてもかまいません。


その際は、家で息子を厳しく指導したいと思っております。
まとまりのない話で、お聞き苦しい点は、どうぞお許しください。


今回、こういう場を設けてくださった本橋先生と、

お話を聞いてくださったクラスメイトのみなさま、

本当にありがとうございました。』



ユキエが話している間中、



生徒達の目は、



ずっと、



灰色だった―――\r





本橋に一礼をして俺達は、教室を後にした訳だが、


俺にとって、今日という日は、


今後の人生において、


妻のじょうぜつぶりと、その度胸を初めて知った、


記念の1日となる事は、間違いないだろう―――



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