翌日、各々のホテルで朝食を終えた3人は、剛夫のところに集合していた。
「昨日はどうだったんだよ。剛ちゃんよ〜。ちゃんと話せたんか?」
「まあ、なんとかね…。趣味の話とかね
そっちはどうなんだよ」
「恋愛的な話はしたかな〜。お互いの結婚観とかね」
「…それ、抽象的にだろ?」
「そんなとこかな」
「相変わらずだな〜俺は、距離が縮まったぞ」
「ほんとかよ。それ、麻由さんの営業的な部分もあるんじゃないの?」
「あのな〜、例えそうあっても、ここに来ることの意味は、持っておいたっていいだろ」
「俺だって、距離は縮めたいけどさ…。こればかりは、麻由さんと、りおさんの価値観の違いがあるからなあ…。」
「まあ、頑張れよ。…ところで剛ちゃんよ。昨日付いた子のメルアドは聞いたのか?」
「ああ…。今度来る時もよろしくってことで」
「まめにメールしろよ。まだ、その子にとって、お前は、お客さんの1人なんだからよ」
「それは…俺のペースでやるよ」
「俺のペース?なんだよそりゃ」
「まあ、相手に迷惑かからない程度にね…」
「ふうーん…」
剛夫のあいまいな返事は、今に始まったことではないが、哲彦も義人も、同じことを考えていた。
(多分…しないだろうな)
「ところで、このあとの予定は?」
「俺は、例の洋食屋さんのところに食べに行くよ。さっきもメールあったしね。哲ちゃんは?」
「俺は…かすみさんだよ。夕方まではな…。剛は?」
「俺は、○○競馬場かな。近いし…のんびりしてるよ」
「じゃあ、夕方またここで集合な」
「了解」
「飯食い終わったらどうすんの?」
「俺は、その後も予定あんよ」
「俺と剛はないなあ…」
「まあ、集合した時にでも決めるか」
「そうだな」
「…ところで、哲ちゃんの夜の予定って、まさか…」
「まあ、深くは聞くな」
哲彦の様子から、義人はなんとなく察した。
「哲ちゃん、もてるのはいいけどさ…」
「なんだよ」
「気持ちは、はっきりした方がいいよ」
「わかってるよ。でも、お前もだぞ」
義人は、黙って頷いた。
「じゃあ、また後でな」
3人は、ひとまず解散した。