帰宅電車に乗った リカちゃんと芳恵(よしえ)こと私は 突然の『こんにちは?』に 驚きと共に振り向いた。
クラス変えで B組からC組へ移動することになった新メンバーの男性だった。
高卒の雰囲気漂う専門学校の中で どう見ても25歳は越えてそう。
異質な感じがして 思わず見入ってしまった男性だった。
『こ。こんにちは?』
まさか声をかけられるなんて!
『同じクラスの人ですよね。俺、阿川高広(あがわたかひろ)っていいます。』
『あ、私は村山芳恵で、彼女が加西(かさい)りかさんです。よろしくお願いします。』
『降りる駅はどこなんですか?』
『私は本町三丁目で、りかちゃんは一つ先の駅なんです。』
『え!ほんとに?俺も本町三丁目ですよ。どの辺りなんですか?』
『西口を出て徒歩三分くらいのとこで』
『俺西口出てすぐに下り坂あるじゃないですか。そこをおりきったところに下宿先があって、男子寮なんですけど、そこで新聞配達しながら生計たててるんですよ。』
『あの辺、行ったことないなぁ』
『けっこういいですよ。仲間もいいし。気に入ってるんですよ。』
『そうなんですか。』
『これから、電車で遭遇することもあるだろうから、よろしくお願いします。』
『こちらこそ。』
なんか 見た目と印象違うなぁ。てっきり、無口な人かと思ってた。人懐っこいのか積極的なのか。
柔和な人みたい。