チンゲンサイ。<46>

麻呂  2010-06-22投稿
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『しかし、ユキエ。お前には驚いたよ。
実は俺も、ユキエと同じ事を考えていたんだが、

もし、お前の代わりに、俺が発言していたとしたら、

正直なところ、お前みたいに、上手く話せる自信は無かった。』



俺の言葉に、ユキエは一瞬、驚いた表情を見せたが、


俺は、その後に更にこう続けた。



『俺達の言いたい事が、理解出来るか出来ないかは、

あの年頃の子供達にとっては難しいところだ。

お前が、あのクラスメイト達に話した事で、

ユウにとって、絶対に良い結果を生むとは断言出来ないが、
結果はどうあれ、今後も俺達は親として、ユウの事を守っていかなくてはならない。』



長い廊下を夫婦2人、並んで話しながら、


俺達は玄関に向かって歩いていた。



『そうね。

私も、あなたと同じ気持ちです。』



そう言って、ユキエは笑った。



玄関を出ると、


俺とユキエに、すがすがしい太陽の光が降り注ぐ。



『よし。これから、お前の職場まで急ぐぞ!!』



『はい!!

運転手さん急いでね!!』



『まかせとけ!!』


気分上々だ。



もちろん、まだまだ問題が解決したとは言えないが、



心の中のモヤモヤが、一気に解消されたからか。



キィ〜…キィ〜…キィ〜………



ポンコツのチャリのむせび泣く声が、



さえない俺へのエールにさえ思えた。

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