『クライアナノナカ』 の真相 〜7〜

ヤルンヴィドの番犬  2010-06-23投稿
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五人目は、かなり
特異なパターンだ。

名前:ホリゴメ タロウ
年齢:1歳(男性)


今回の対象者は乳児だ。
本人情報はかなり乏しい。

有名大学卒で、派遣社員
の若い父親と、
16歳の母親の間に
産まれた。
当初から気難しい性格で、
よく泣く子だったらしく
両親も相当手を焼いていたらしい。


常に、何かに怯えるように。


まるでこの世に生を受けた事を嘆くかのように。


ハイハイや捕まり立ちが
出来るようになった頃、
忽然と行方不明になる。

勿論両親が最初に疑われた。

元々ネグレクト
(育児放棄)の傾向も
あったから尚更だ。

だが、両親ともアリバイがあった。
(父親はパチンコ屋で
目撃証言があり、
母親は皮肉にも不倫相手
の目撃証言がある)

私も両親に取材を
求めたが、それは無気力
に拒否されてしまった。





つまり、五人目について
余り記せる事柄はない。




『クライアナノナカ』
の方はといえば、
おそらく胎児に
話しかける何者か
(おそらく女性)
の視点で話が作られている。

まるでこの世が地獄で、
人間の醜さを
産まれる前の胎児に
諭すかのような内容だ。

前回から間があり、
心境の変化があったのか、
今回はかなり精神論が
盛り込まれた文面で、
『ディナー』の思考や
内面が垣間見える。

恐怖を煽るホラー
というよりは、
人間や世界への哀しみが
綴られた詩のようだ。

『ディナー』は、きっと
世界を哀れんでいる。

私は、不覚にも
妙な共感をもってしまった。

そして思う。







『ディナー』を、
知りたい。




もちろん、本性を暴く
という事もあるのだが、
人間としての
『ディナー』に、
私は興味が湧いて来た。



どんな人物なのか、
会ってみたい。







私は、彼が投稿する
掲示板に幾つか
詩などを投稿した。

そして、別のサイトへ
誘い出し、
彼が求める
『餌』
をちらつかせて
コンタクトしようという
考えだ。

うまく行くといいのだが…。




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