「愛してる」「好きだよ」
そんな言葉は私には無縁だと思っていた。
「風香、ふ、う、かっ!」
「はひ?!」
私の名前は時雨風香〈しぐれ ふうか〉、ただいま妄想にふけっていたところを友達の栗城琴那〈くりき ことな〉さんに呼び戻されました。
「何スか?!」
「天然ちゃん、人の話の途中で妄想にふける癖なおそうね・・・・」
まさに、呆れたという口調だ。
「あぁ・・・ごめん。何の話だっけ?」
妄想しているうちに何の話をしているか分からなくなってしまった。
「津軽君のこと。同じクラスの・・・」
「あぁ!そうだそうだ、その話だった。」
私は中学三年生、Aクラスになった。琴那の言う津軽君とは同じクラスになった津軽澪〈つがる れい〉というイケメンのことだ。彼は大変無口で、友達との会話はおろか、先生の出した質問にさえ滅多に答えない。運動神経は抜群で、筋力測定では百二人中ダントツの一位!(ちなみに私は、十九位です。一応武道を習っていて初段です。)そんな彼は野球部所属、ピッチャーらしいです。
「で、津軽君が?」
「恋人ができたらしいよ」
「ほぉ・・・それを何故に私に言う??」
混乱中です、軽く。
「そこで問題、その恋人はだれでしょう!」
テンションを高くして琴長が言った。
「え〜分かんないよ〜誰々??」
その手の話は私、かなり好きであります!
琴那はニコッと笑ってこういった。
「あんただよ、風香」
「へー、風香かぁ・・・」
◇十秒後◇
「私じゃん!!」
「遅っ、鈍っ、トロイ!」
琴那は笑いながら言った。
「これ、あんたにわたすように津軽君がわたしたんだよ」
琴那は手紙を取り出して、私にくれた。
『明日の放課後図書室で待っています。』