第十一話 公園
この世で最も寝たくない場所の一つの遺体安置所という場所で一夜を過ごした京都と雪野は五時に自然と目を覚ました。
この時間に起きられたのは丁度良かった。これ以上遅ければ朝に誰かがこの周辺を歩きだす時間となっていただろう。夜は結構冷えたのか二人は朝目覚めると寝る前以上に身を寄せ合って寝ていた。当然二人は恥ずかしがって少し離れたがまだ朝方……寒いので二人は結構近い距離を保っていた。寒いとはいえガラスを割ってドアを蹴り破っているこの始末……早く退散したほうがよさそうだ。
二人は昨日読んでいた資料をもとに戻し、プリントした資料を持って遺体安置所を後にした。
遺体安置所を後にした二人は昨日の昼間から何も食べていない事に気づいた。否、雪野のお腹が鳴ったためである。体育会系の彼女にはダイエットなど無縁で昨日の夜から何も食べていないことが耐えきれなかったのだろう。京都は雪野の腹の音を聞くと笑って
「そういえば何も食べていなかったね。じゃあここの路地裏で待ってて。僕がそこのコンビニでなにか買ってくるよ。何がいい?パン?ご飯?」
京都が雪野にリクエストすると雪野はすかさずご飯と答えた。まぁこれからまた何十キロも歩くかも知れないし次はいつ飯にありつけるか分からないから腹もちの良いものを食べていた方がいいだろう。優から貰った資金の一部を使っておにぎりを多めに三個ずつとお茶を二本買ってきた。
路地裏で待機していた雪野と合流した京都は近くの公園で朝食をすました。
二人はプリントした資料を再度見直した。パソコンにあった情報もあまり変わらなく被害者の顔写真が貼り付けてあっただけだ。その顔写真をみた京都は昔のことを思い出したのかまた涙を浮べていた「この人覚えている」と、哀しく呟いて………京都が感傷に浸っていると隣で見ていた雪野は何かこの写真を見て疑問を抱いていた。「どうしたの?」と、京都が雪野に尋ねると雪野は何故か?マークを頭の上に浮かべて京都の顔を見たのだ。
「なんか知っている………気がするの………」
意味の分からない答えだ。
「気がするってどういう意味?」
「何故か思い出せないのよ。私はほかの人よりも記憶力がいいから忘れるわけがないのに……」
雪野は頭を抱えながら必死に思いだすが、思い出せないみたいだ。