私…ソフィア・ルーセントは、
ごく普通の女子大生だった。
生きるために苦しみ抜いた、あの1ヶ月までは…
その時、私は肩を叩かれた。
「あぁ、ダイアン先輩。」
ダイアナ・フォード先輩。同じサークルの先輩で、
見た目はギャル以外の何者でもなく、
私も最初話しかける時びくびくした。
けれど、話してみるといい人で、
よく一緒に遊びに行ったりもしている。
ダイアンという愛称も、彼女から
頼まれてこう呼んでいる。「よっ!…ねえ、ソフィー、聞いてるでしょ?」
「えっ?…あぁ…はい、勿論です。」
「まあ、聞いて無いわけないか。
大統領暗殺なんて物騒なニュース…
警察官は何やってるのよ、まったく…」
…そう、らしかった。
勿論、私がそれを知ったのは、テレビという
現代社会最大のマスメディアに
依るものだった。
凶器は小型のナイフ、十代後半から
二十代前半の者の犯行とみて捜査が
進められている…との、ことだ。
「まあ、国のトップが誰だろうと、
あたしらにはどうでもいい事なんだけどね。
それより、早くサークル行こっ!」
と言うや否や、彼女は走り出した。