その炎は真っすぐ俺に襲い掛かってきた。それをギリギリでかわす。しかし炎は容赦無く俺にもう一発やってきた。
「あっつ!」
と俺は叫んでしまった。すると炎を出した奴はにんまり笑い
「熱いだろう。もうこんな思いしたくなかったら素直にジュエルを渡せ」
と言ってきた。しかし今の俺の頭には熱いという情報しかなく、そいつの声は届かなかった。そして俺の呼吸は次第にしにくくなった。もう駄目だ……熱い……死にたい…。しかしその願いとは裏腹に火は俺を燃やし続けるが死ねなかった。すると突然俺を燃やしていた炎が消えた。俺は自分の姿を見た。なんと俺は焦げているどころか服一つ黒くなかった。考えてみると熱いという感情は消えている。俺は驚きながら火を出した奴を見た。するとそいつは息をきらせていた。待てよ、考えろ。俺はさっきまで燃えていた。でも何も燃えていない。その跡すら無い。そしてあいつは疲れている。つまりあの石を使うと疲労が溜まる。そして俺が喰らった炎は幻!
今がチャンスだ!潰す!
そう考えると俺は自分の全体重を乗せたタックルを喰らわせた。すると簡単に男は倒れた。
「うっしゃ!」
と俺はガッツポーズをした。すると男は呻きながら
「クソが!ぶっ殺してやる」
と言う。そしてポケットからナイフを取り出した。まずい。今、俺は燃えてなかったとはいえかなり疲れている。しかも昨日の事のせいで更に痛い。とても避け切れるものではない。男がナイフを構え、突進してくる。次の瞬間俺の体にナイフが突き立てられた。腹から温かく、紅い液体が溢れてきた。そして俺は少しずつ目の前が暗くなっていった。