The Last Escape 4

エアロ  2010-06-27投稿
閲覧数[337] 良い投票[0] 悪い投票[0]

「何をした、だぁ!?
あんな大それた事しておいて、何を今更!!」
「あんたを警察に引き渡すとなぁ、大金が手に入るんだよ!」
新たにこちらに近づいて来た、二人のうちの、
一人も言った。

「大金!?どういう事…
そんな…まさか!!」
お尋ね者、ってこと!?

「なぁ、それよりこいつ、
けっこう可愛い顔してんじゃん。」
酒臭い息を吹き掛けながら、右側の男が言う。
「どうだ?警察に引き渡す前にさぁ…」

戦慄が走った。
三人は、血走った目で私を見て、にやついている。

「いや…嫌ぁ…
やめてぇ!放してよ!!」
だが、いくら暴れたところで、屈強なその腕から逃れることは不可能だった。

私は冷たいコンクリートの上に簡単に寝かされ、
馬乗りされた。
涙がこぼれそうになり、私は目を閉じた。

男の身体が覆い被さってくるのを感じる。

私の頬を、涙が伝った。


だが、しばらくしても、男はそのまま、何の動きも見せなかった。

どういう事…?
私が目を開くと、そいつが気を失って倒れている姿を見る事が出来た。

「…!?」
「お、お前は…」
残り二人がそう言いながら見た方向を見上げてみた。

長い黒髪、頬の傷。

彼は一人の襟を掴んでもう一人に投げつけた!

二人は近くの壁にぶつかり、気を失ったらしかった。

が、周りに人だかりが出来始めたらしい。
中には私たちを指差す人たちもいた。

「チッ」

彼は私の上で気を失った一人を蹴飛ばし、
私を抱えて近くの塀に飛び乗り、走り出した。


路地裏まで行くと、
彼は私を降ろした。

「あ、あの、…ありがとう…助けてくれて」

彼は私の方を見た。
私は今初めて、彼の姿を確認できた。

ジーンズにスニーカー、黒地に赤い袖のジャンパーに、フード付きのパーカー。

彼が稀代なほどの美男だという事も、その時わかった。

「いちいち、例を言う暇は無いぞ」
…? あ、そうか。
急いでるの、解っちゃったか。そう思っていた。
「そうだね、もう行かなきゃ」

だが、彼はそうさせてくれなかった。
歩き出そうとしたら、私は肩を掴まれた。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 エアロ 」さんの小説

もっと見る

ノンジャンルの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ