「どこへ行くつもりだ」
「だから、急いでるのよ!」
彼は、どういうつもりなのだろう?
まさか、自分が大金を手にするために、
私を助ける振りをして、何故だかはわからないけれど、私を警察に引き渡すつもり…!?
「安心しろ。俺はあんたを警察に売るつもりはない」
とは言うものの、彼はどうしても私の肩を放してくれない。
「じゃあ放してよ!
私はこれから、レービアさんに、会いに行かなきゃいけないの!!」
「レービア!?」
秘書の名前だが、彼は明らかに知っているようだった。
「やめておけ。恐らくそれは罠だ」
「何の罠だって言うのよ!」
彼は私の鞄を引ったくると、携帯を取り出して何やらいじり始めた。
「ちょっと、何するの!?」
と私が言うと、彼は携帯の画面を私に見せた。
私は言葉を失った。
『本日のニュース 大頭領暗殺事件の重要参考人、ソフィア・ルーセントほか一名、遂に指名手配』
「指名、手配…?」
画面を下にスクロールすると、私と、そして彼の顔写真が、画面いっぱいに現れた。
「…!!」
私は彼を見上げた。
「そう、俺もだ。
恐らくレービアは、警察が民衆をけしかけて俺達を追っていようとはいざ知らず、自らあんたを捕まえようとしたんだろうな」
「でも、どうして、どうして…」
「アリバイがないからだ。
あんただって、それは解るだろう?」
「でも、私が大頭領官邸に行ったのは話を聞く為で…そうよ、ちゃんと現場検証すれば、私が犯人じゃないって解るはずよ!」
「俺もそう思った。だが聞き入れて貰えなかった」
「・・・。」
「行こう。もうじき、誰かが来る」
促されて、私は歩き出した。
その後しばらくの彼の話を要約すると、こうだ。
警察は二人を探すと同時に、莫大な懸賞金をかけて捜査への協力を募っている。どちらか一人捕まえるだけで、一生遊んで暮らせる額だ。どれ程の市民が協力するかは解らないが、恐らく相当な数に昇るだろう。
さらに、銃器の使用は禁止するが、生死は問わないそうだ。
捕まったら、まず間違いなく処刑されるだろう、との事だ。
「そんな…下らない。
まるでゲームじゃない!!
いえ、ゲームの方がずっとましよ、終わりがあるんだもの!!」
「そんなに大声を出すな。
気付かれるぞ。それに結局、これもゲームだ」
私は足を止めた。
「どういう事…?」