恋を知らぬ男の日常

れうぃ  2010-06-29投稿
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俺の名前は日坂潤一、しがない喫茶店のマスターをしています。
まぁ、一応厳密に言えばマスターではないのですがね。
元々両親が趣味で始めたのですが、只今愛の逃避行中だとか何とかで、海外に長期滞在しています。
ですから今は僕がここの仮のマスターなのであります。

午前中は大概暇なご老体の方々がたまに来る以外はお客様も来ないので正直暇ですね。
などといつものようにカウンターでのんびりしていると突然ドアが開き、外から女子高生らしき娘が入ってきた。
「いらっしゃいま――」
「助けてください!」
これはこれは、うちのメニューに『助ける』何てものありましたっけ?
「変な人達に追われているんです!」
そんなこと言われましても喫茶店のマスターに何が出来るとお思いで?
だが少女の話は本当らしく、外には数人のやーさんがいます。
「困りましたね・・・・・・」
「どうにか助けてください!」
僕の目の前で必死に助けを求めている少女は今にも泣きそうな表情だった。
「分かりました。取り合えずカウンターの奥に隠れていてください」
「あ、ありがとうございます!」
そう言ってそそくさとカウンターの奥に少女は隠れた。
それと同時にやーさんが店内に乗り込んで来ます。
「おい兄ちゃん、ここら辺で女子高生見んかったかの?」
「女子高生ですか・・・・・・さぁ?存じ上げておりませんが?」
「そうけぇ、ならえぇわ、邪魔したな」
「あ、ちょっと待ってください!」
僕はやーさんを引き止め、再び口を開く。
「貴方達は何故その娘を探しているんですか?」
「ん?あぁ、それはのぅ、なんやその娘が家出したらしくてな、ここら辺に詳しいワシらんとこに探して欲しいって依頼しに来たんやわ」
「そうなんですか・・・・・・そんな理由なら早く言ってくれればよろしかったねに。その娘ならカウンターの奥にいますよ」
すると突然ガタという音がして、
「何バラしてるんですかー!?」
少女は立ち上がって叫んだ。だがそれが一番決定的な証拠となった。
「いたぞ!捕まえろ!」
やーさん達はカウンターの奥で少女を捕まえて店内を出ようとすると、先程話していたやーさんが振り返り、
「協力に感謝しやすぜ兄ちゃん」
「いえいえ、どう致しまして」
そしてやーさん達は帰って行った。
やっぱり人助けをすると気持ちが良いなぁ。
そう思えた一日でした。



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