人生の岐路は…ふとやって来るものである。
良い場合…その事への喜びから神に感謝する。
悪い場合…悲観から神を恨む。
人間は、なんて無責任な存在なんだろうか。
今僕は、その両方さえ感じられずにいる。
どのくらい眠っていたのだろう…。
何だか…ベットの肌触りが違うし、うるさい。
目を開けると、知らない景色が広がっていた。
「ここは…?」
「高嶋さん、わかりますか?」
(ブーッ)
「先生、高嶋さんが目を覚ましました」
(病院?)
そういえば…
身体が動かない。
しばらくして医師がやってきた。
「高嶋さん、ご気分は、いかがですか?」
そう聞きながら、僕の体を診ている。
「高嶋さん、どうしてここにいるかわかります?」
医師は、僕の横に座った。
「いや…?」
横で看護士は、点滴を替えている。
「事故に遭われたんですよ。陸橋の階段から落ちたようです。全身を強く打っています。脊椎の損傷もありましたが、手術は、成功しましたよ。
経過をみていきましょう」
頭の中が整理しきれない。
とりあえず、自分の事は、分かる。
頭は、大丈夫なようだ。
名前は…
高嶋 空斗
(たかしま そらと)
29歳 広告代理店勤務。
あっ、会社!!
連絡いれないと。
こんな状態で仕事の心配をするなんて、自分で呆れる。
とりあえず、冷静になりたかった。
僕は、また 深い眠りについた。
目を覚ますと、母がいた。
母は、今にも泣き出しそうなのを必死に我慢しているのがわかった。
「会社…。」
「大丈夫、連絡してくれたの会社の人だから…。空斗、営業中に事故にあったみたいだよ。」
徐々に思い出していった。
そうだ。営業で大きな契約取れて…。過労がたたったのか…?貧血起こしたとこまでは…覚えている。
そのまま、陸橋の階段から落ちたって事?!
俺は…なんて運の悪いヤツだ。
母は、僕と話せた事でほっとしたようだった。
「お父さんに電話してくるね」
そういうと、急いで病室を出ていった。
しばらくして、病室に誰か尋ねてきた。
麻耶だった。
麻耶は…僕の彼女。
付き合って3年くらい。
同じ会社だ。
麻耶の顔は、真っ白だった。
「空斗…。びっくりして…良かったぁ 生きてて」
麻耶は、座り込んで泣き出した。
少しすると、麻耶は、帰った。
しかし…
なんだか身体の様子がおかしい。