03.アルバム
私の住むアパートには、エレベーターがない。
でも私の部屋は3階にあるから、上るのはそんなに苦じゃない。
鍵を開けて中に入る。
そしてベットに横になった。
私の部屋は1LDKで、家具は必要最低限しかないシンプルな部屋。
仰向けになって、今日の図書当番の事が頭に浮かんだ。
今考えてみると、凄い事だよね。
あんなに結城くんと喋っちゃった。
そういえば右手……ダメだ。
ニヤケ再来。
何か変態っぽいかも。 うーん。
その時、外から物凄い雨音が聞こえた。
窓から外を見ようとしたけど、窓に大量に雨が打ちつけていて、外が見えなかった。
「雨、やだな……」
アオトも同じように思ってるのかな。
そして、あの暗い表情をしているのかな。
アオトは笑顔が凄く似合うのに。
───俺の事、覚えてる?
もう1度、記憶を巡らせる。
でも思い出せなかった。
そういえば、小中学校のアルバムあるじゃん。
それを見れば、1発で分かるよね。
アルバム、どこにしまったっけ?
クローゼットの戸を開けて、ダンボールを引っ張り出す。
この中にはない。
私はもう1つの方を開けてみた。
「あった! 懐かしいなあ」
アルバムなんて貰った時くらいしか見ないから、見るのは本当に懐かしい。
まず中学校のアルバムから見ることにした。
「んー。いないなあ」
ということは、小学校の時に会ったって事?
小学校のアルバムをめくっていく。
「あれ……」
いない。
もう1度最初に戻って、端から端まで見ていく。
でもいない。
中学校の方も、もう1度見たけどいない。
じゃあ、幼稚園の時?
でもそこまでの写真は持ってない。
お母さんに聞いてみようかな。
いや、止めよう。
理由聞かれても、上手く言えない気がする。
それか、本当にアオトの勘違いなのかも。
とりあえず、この事はいいや。
アルバムを片付けて、テレビをつけてみる。