「目が、目がー!」
死神に炸裂させたのは閃光だった。
「フラット!」
パールに合図されて、フラットは素早く火の玉を死神にぶつけた。
火の玉は死神を包み込み激しく燃え上がる。
「コワスコワスコワスコワス!!!」
死神の狂った叫びに反応するように、世界が音をたてて崩れ始めた。
「なんだ?」
見るとタクトの姿が消えていた。
「何をしたの!」
「キキキキキ!何を?キキキキキ・・・」
世界が死神の嘲笑と共に崩れていった。
「ここは?」
タクトが目覚めたのは何も無い真っ暗な世界だった。・・・いや、倒れている人間が三人。
「みんな!」
タクトが三人の元へ向かおうとした時
「キキキキキ、ここはキミの世界の終わり」
タクトの目の前に死神が降り立った。
「みんなに何をした!」
死神は無視をするように続けた。
「忘れてた。ボクはR11、名前は心が知ってるはずさ」
死神は不気味な笑い声を上げた。
「R11・・・」
「驚いたかな?」
「いいや・・・もう慣れたかな」
タクトは静かに答えた。
「だったら話が早い『木彫りの不死鳥』を返して貰おうかな」
死神は手を差し伸べてきた。
「答えは分かってるくせに」
タクトはゆっくり剣を抜いた。
「・・・仕方ないネ」
死神はタクトの足下に魔方陣を描いた。
タクトは素早くその魔方陣から抜け出す。
「これはどうかな?」
死神は弓をはなった。
「パールの方が上手だよ!」
タクトが弓を避けきった瞬間だった。
「じゃあ」
タクトのすぐ後ろにハンマーを振り上げた死神の姿があった。
「そんな・・・」
「これは?」
死神はそのままハンマーを降り下ろした。
ガキン!
素早く剣で受け止めた。
「ここは、僕の世界だ。だったら、これはどうかな?」
死神の頭上に突如として巨大な岩が現れた。
「あー、これはやられたな、キキキ」
岩は笑い声もろとも死神を押し潰した。
「うーん、悪い夢だった」
タクトは真夜中に目が覚めてしまった。
いつものように隣ですやすやと眠る三人の姿があった。
タクトももう一眠りすることにした。
「キキキキキ、オーケスでの再会が楽しみだね」
死神は闇の中へと溶けていった。