「ねーねー、お兄ちゃんの彼女ってどんな人?」
麻友美が目を輝かせながら聞いてくる。
「まあ…結構可愛いよ。」
「麻友美より?」
「…は?」
亮平は呆れた。まず妹と彼女など比較するものではない。
「んなこと言われても…比べるもんじゃないだろ…」
「じゃあ…麻友美のこと可愛くないの?」
また目を潤ませる麻友美。
「そうじゃねーけど。その…麻友美に対する可愛いと彼女に対する可愛いは違うだろっつってんの。」
「うわぁーん!お兄ちゃんがいじめるー!」
大袈裟に顔を突っ伏して喚く麻友美。
全くガキみたいだな…
「…分かったよ。麻友美のほうが、可愛いです。」
亮平は棒読みでそう言った。
「ほんとに!?」
麻友美はすぐ顔を上げ、笑った。
「麻友美立ち直り早いな。」
「げ…」
「げ、じゃねーんだよ。」
しかし麻友美の顔をよく見ると、ほんとに涙が出ている。
まさか…本気で泣いてた…?
麻友美はたまにこういうことがあるから困る。
「とにかく。もうすぐ来るからちゃんと挨拶しろよ。」
「分かってまーす!」
ほんとに分かってるのか分かってないのか…
とにかく麻友美は返事だけは立派だった。
続く